新薬開発と「和室」の意外な関係
日本人のライフスタイルも欧米化が進み、最近では和室のない家も少なくないとか。とは言え、我々日本人が本当にリラックスできる空間ってのを考えた場合、日本のトップレベルの頭脳集団がはじき出した答えは「和室」だったようです。今回はそんな日本人の心とも呼ばれる「和室」と製薬会社の新薬開発との意外な組み合わせに関する、興味深い記事があったのでご紹介します。
よくホテルの洋室にも、部屋の片隅に6畳ほどの和室のスペースがあったりします。ほどよいスプリングの利いた大きなベッドやお洒落なソファーに腰掛けて、豪華な気分を味わうのもそこそこに、ふと気付けば全員が、その部屋の隅の小さな和の空間にすっぽりと収まり、こたつに入ってお茶なんてすすりながらくつろいでると、「あぁ、やっぱ日本人なんだなぁ」なんて妙に実感したりして。日本人が本当にリラックスできる空間ってのは、やっぱり和室なのかもしれませんね。
新薬開発のための環境として「和室」が注目
そんな和の空間が今、多くの製薬会社に新薬開発のための環境作りとして注目されているそうです。
医薬品の研究開発は、メーカーの研究職の中で「群を抜いて独創的なひらめきが要求される」といわれる。それだけに研究所内は近未来的な最先端設備の集大成かと思いきや、意外にも「和室」を設ける製薬企業が増えている。ハイテク施設と“昭和”を感じさせるレトロな和室は相性が良いようだ。
昨夏完成したシオノギ医薬研究センターが2月上旬、報道陣に初公開された。最上階に設けられた和室は15人程度を収容でき、プロジェクトの会議などに使われる。掘りごたつ式で、くつろぎながら議論できるという。札幌市の北海道大学内に4年前、開設したシオノギ創薬イノベーションセンターに和室を設けたところ、研究者から好評だったため、最新の医薬研究センターにも導入したというわけだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120225-00000581-san-bus_all
独創的なアイデアやひらめきは、一生懸命に集中して頭を絞れば必ず出てくる・・・なんてものでもないわけで、意外とリラックスした状態の時にポロっとこぼれ落ちるように出てくることは、誰しもが経験的に感じていることでしょう。和室が日本人研究者のリラックスを創り出せるのであれば、これを利用しない手はありませんね。
なんでも現在の新薬開発の成功率は、たったの2万5千分の1ほどなんだとか。この確率ってのを具体的に表すと、一人の研究者が生涯にたった1つの新薬を生み出せれば御の字・・・っていうくらいに難しい状況なんだそうです。そんな大変な状況の中で日夜研究に励まれている方々には本当に頭が下がる思いです。