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そもそも「iPS細胞」ってなんじゃらほぃ?ES細胞の課題を克服したiPS細胞の光と影

ここのところiPS細胞による再生医療の話題をよく取り上げていますが、ついつい話が小難しくなってしまってしまいます。ここいらで一つ、自分の頭の中を整理する意味でも、そもそも「iPS細胞」って何なの?同じように出てくる「ES細胞」とどう違うの?そんな基本的な部分について、自分なりにまとめておきたいと思います。

今回も間違いを恐れず、できる限り分かりやすくまとめてみました。一部、あえて簡略化している部分もありますが、ひょっとすると根本的に誤解している部分もあるかも知れません。もしお気づきの点などあれば遠慮なくご指摘していただけるとありがたいです^^

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体のあらゆる細胞に分化する能力をもつ「ES細胞」

ES細胞の説明

受精卵は2分割から4分割、8分割と分裂を続け、およそ5日目には「胚盤胞」と呼ばれる状態になりますが、その中に含まれている細胞の塊は、体のあらゆる細胞に分化する能力をもっていることが知られています。

この特殊な能力を「分化万能性」と言い、胚盤胞の中にある分化万能性を有する細胞を取り出して培養したものが「ES細胞」です。

ES細胞が「分化万能性」を持つということは、培養条件などを変えることにより、理論的には体を構成するあらゆる組織や臓器に仕立て上げることができるわけですが、このES細胞を実際に再生医療に利用するとなると、避けては通れない”ある問題”が浮上してくるんですよね。

「ES細胞」が避けて通れない問題

つまり、ES細胞は「胚盤胞」の中の”特殊な能力をもつ細胞”を取り出して培養したものですので、このES細胞を手に入れるためには「胚盤胞」が必要になります。「胚盤胞」が必要になるということは、その元となるヒトの受精卵を犠牲にしなければならないということで、その点において、どうしても倫理的な問題がつきまとってくるわけです。

また、たとえその倫理的な問題がクリアできたとしても、ES細胞が他人の受精卵から作製された組織や臓器である以上、それを移植する患者さんとは遺伝子構造が異なるため、移植に際しては従来の移植同様、拒否反応という大きなリスクがつきまとう点は何ら変わりません。

「ES細胞」の問題を克服した「iPS細胞」

iPS細胞イメージ

そこで颯爽と登場したのが「iPS細胞」です。

iPS細胞は、体細胞へ数種類の遺伝子を導入することにより、上記のES細胞が有する「分化万能性」と、分裂増殖を繰り返しても細胞を維持できる「自己複製能」を持たせた夢のような細胞で、京都大学の山中伸弥教授らのグループによって、2006年に世界で初めて作られました。

iPS細胞は患者自身の皮膚細胞などから作ることができるので、もちろん受精卵を犠牲にする必要もなく倫理的問題をクリアしていますし、また、iPS細胞から作られた組織や臓器は、もともとは患者自身の体細胞から誘導して作製されたものですので、移植したとしても拒否反応を起こす心配も無く、上記のES細胞が抱える問題を見事に克服していると言えます。

「iPS細胞」に残された課題について

再生医療イメージ

000 research and development
/ MilitaryHealth

とは言え、この技術を実際の再生医療に用いる際には、まずiPS細胞を治療したい患部の細胞に変化させ、それを培養したものを移植することになります。ところが、全てのiPS細胞を狙った部位の細胞に変化させることができるわけでなく、中には変化しきれなかったiPS細胞も出現してしまうのだとか。もしも移植した細胞の中に、そんな変化しきれなかったiPS細胞が混じっていると、「奇形種」と呼ばれるがんができてしまうことも・・・

また、iPS細胞の特色の一つとして「自己複製能」を挙げましたが、この「自己複製能」を別の言葉で言い換えると「無限増殖性」で、この無限増殖性を有している細胞の代表と言えば”がん細胞”です。
そもそもiPS細胞は、体細胞へ数種類の遺伝子を導入することによって作られると述べましたが、iPS細胞にこの「無限増殖性」という能力を持たせるために、実際に発がん遺伝子も導入されているのだとか。そのような細胞を移植することにより、結果的に潜在的ながんの発症率をアップしているのではないか?との指摘もあったりします。

以上のように、iPS細胞を再生医療として実用化するには、まだまだ多くの課題が残されていると言えますし、前述の通りiPS細胞は遺伝子を扱う技術ですから、その適用範囲についても依然多くの議論が残っていると言わざるをえません。しかし一方で、多くの期待と注目を集めているのも確かですし、今までにない全く新しい医学分野を開拓する可能性をも秘めていると言えましょう。

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コメント 12
駅員3

なるほど、大変勉強になりました。
by 駅員3 (2012-06-22 23:34) 

ニッキー

とてもよくわかりました^^
医学の進歩は必ず倫理上の問題が絡みますよね(-_-)
それでも、昔は致命的だった病気が今では治療可能になったり、撲滅したり素晴らしい進歩を遂げてるのも事実だし(^.^)
病気を抱えてる本人や家族にとっては、画期的な治療法になる可能性があるこのiPS細胞の今後の活躍が待ち遠しいです(^O^)

by ニッキー (2012-06-23 01:21) 

rtfk

理解できたような気がします・・・(汗)
自分の細胞を若いうちに採っておいて
病気になった時にソレを使って~という未来が来るのでしょうか???


by rtfk (2012-06-23 05:59) 

david

難しい、理解力が無くなったのかな。
by david (2012-06-23 10:04) 

空楽


お祝いのコメントありがとうございました。

by 空楽 (2012-06-23 11:47) 

くまら

わ・・判ったような
判んない様な。。。一度頭整理してから
再度読んでみます(汗)
by くまら (2012-06-23 12:33) 

まつき

なるほど・・・分かったような分からないようなw
とても難しいです(>_<)
今までにない全く新しい医学分野、どんな世界が広がって
いるんでしょうね。恐ろしい事になっていたりして(^◇^;)
by まつき (2012-06-23 13:00) 

リキマルコ

間違いを恐れず!その心意気、気持ちがいいですねぇ~!
ちょっと難しいですが、なんとなく掴めたような感じです♪
おかわかめ・・・そうなんです、我が家ではすでに「おかめちゃん」と呼んでおります(^^;)
by リキマルコ (2012-06-23 19:03) 

uryyyyyy

ソノ日暮 さん、こんばんは。

細胞である限り無限増殖するのですね。
そこに落とし穴があったんだ・・・

無限増殖って聞くとスーパーマリオを思い出してしまいます。
あれも増殖しすぎるとゲームオーバーになりました。
by uryyyyyy (2012-06-23 21:17) 

ソノ日暮

ちょこっと出掛けていて、お返事が遅くなってしまって申しわけありません<(_ _;)>
また、結構気合入れて書いたつもりだったんですが、
皆さんの感想をうかがってみると、まだまだ分かりづらかったようですね^^;
それもこれも自分の理解が進んでいない証拠ですので、
これからも積極的に学んでいきたいと考えています^^

このブログではこれからもiPS細胞やES細胞に関するトピックスを、
取り上げていくことになると思いますので、
それらの基本的な部分に焦点をあてたこの記事は、
このブログの中では重要な記事になっていくと思われます。

実は、つい先ほども1度目の修正を入れてみたんですが、
これからも折を見て修正、加筆を繰り返していくつもりですし、
関連する新しい記事からも積極的にリンクを張っていくつもりですので、
もしそれらしいリンクを見かけたら、ちょろっとでも覗いてみていただけると嬉しいです。
ひょっとするといつの間にか分かりやすくなってるかも(`・ω・)b


◇ 駅員3さん

ありがとうございます!
そう言っていただけるとホント励みになります^^


◇ ニッキーさん

めっちゃ嬉しいお言葉、ありがとうございます^^
その通りなんですよね!医学が進んだ現在でも、
未だ有効な治療法がないとされている難病は少なからずあります。
そのような病と日々闘ってられる患者さんや、そのご家族にとって、
この分野の進歩は、実現可能な文字通りの”一縷の望み”ですもんね!
期待せずにはいられません^^


◇ rtfkさん

ありがとうございます^^
もし分かりづらいところとかあれば、遠慮無くおっしゃってくださいね!
全力で調べてきますから(`・ω・)b
僕の理解だと、「自分の細胞を若いうちに採っておいて・・・」
ってことすら必要ないと思っています。
悪くなったその時でも、十分に対処できるんじゃないかと。


◇ davidさん

いえいえ!ご指摘ありがとうございます^^
誰もが一読して理解できるような内容を目指したんですけど、
どうやら失敗しちゃったみたいです^^;
とりあえず現時点で目についたところを修正しておいたんで、
また時間がある時にでも、目を通していただけると嬉しいです^^


◇ 空楽さん

こちらこそありがとうございます!
どうぞお気遣いございませんように^^;


◇ くまらさん

せっかくお時間をいただいたのに申しわけありませんでした^^;
投稿前に何度も読み返してはみたんですが、
今一度読み返してみると、余計な部分、言葉が足りなかった部分があったので、
とりあえず目についたところだけでも修正しておきました!
また時間がある時にでもチェックしていただけると嬉しいです^^


◇ まつきさん

ご指摘ありがとうございます^^
今回は特に気合を入れて書いたつもりだったんですけど、
まだまだ自分自身の理解が進んでなかったからなんでしょうねぇ(-ω-;)
とりあえず目についたところが何ヶ所かあったので修正しておきました。
これからも随時修正を入れていくつもりですので、
また暇な時にでもチェックしてやってください^^


◇ リキマルコさん

ありがとうございます!
自分でも無茶してるなぁ~なんて思うんです^^;
実際かなり話を単純化してるんで、専門の方からすると、
怪しい記述がところどころにあると思うんですよね。
でも、そう言う枝葉をバッサバサ切ってかないと、
どうしてもWikiみたいな難解な表現になっちゃうんで・・・

やっぱり通称は「おかめ」ちゃんでしたか(*´艸`)


◇ うりさん

僕の理解からするとちょっと違っていて・・・
iPS細胞の特徴として分化万能性と自己複製能(無限増殖性)を挙げてるってことは、
たぶん普通の細胞にはこの2つの特徴が見られないんだと思うんです。
iPS細胞は皮膚などから採取した普通の体細胞を元に作られるわけですが、
この普通の細胞に無限増殖能力を付加するために、
わざわざがん細胞の遺伝子を導入してるんだと思うんです。
そう考えると、結構無茶してますよね^^;
スーパーマリオ懐かしいですね~(*´艸`)

by ソノ日暮 (2012-06-24 16:35) 

風来鶏

もうこれは“神の領域”に人間が踏み込んでしまった訳ですから、「神の火(原子力)」と同様に、その取り扱いについて慎重性が求められると思います^^;)
by 風来鶏 (2012-06-24 21:05) 

ソノ日暮

◇ 風来鶏さん

確かにiPS細胞が遺伝子を扱う技術である以上、
もはや神の領域に踏み込んでしまってるとも言えますよねぇ(-ω-;)
ところが最近の流れでは、規制緩和の方へどんどん流れてるようにも見えます。
めざましい研究成果ばかりに目を奪われていると、
いつかとんでもないしっぺ返しが待っているのかも・・
by ソノ日暮 (2012-06-26 00:11) 

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