iPS細胞、高齢マウスから作っても、胎児マウスから作っても同等の効果が!
「iPS細胞を利用した再生治療では、やっぱり若い細胞から作製したiPS細胞から作られた細胞や臓器の方が機能的に優れてるの?」
iPS細胞に関するこんな疑問に対して、今回、名古屋大学の室原豊明教授らの研究チームによるマウス実験によって一つの解答が示されました。特に高齢な患者さんに対する再生医療において、とても大きな問題となる重要なポイントだと思われますので、このブログでも取り上げておくことにします。
問題となる局面について
患者さんが若い人の場合は、自分の若い細胞から作製されたiPS細胞を利用すれば何の問題もありません。ところが患者さんが高齢者の場合には、若い細胞から作製されたiPS細胞を利用するとなると、どうしても自分の細胞から作ったものではなく、若い他人のiPS細胞に頼らざるを得ないわけですが、他人の細胞を元に作り出した組織や臓器を移植する際には、どうしても拒絶反応のリスクがつきまとってしまいます。
ヒトで言えば80歳以上のマウスと胎児のマウスから作ったiPS細胞で比較
ところが今回、高齢な患者から採取したiPS細胞でも、若い人から採取したiPS細胞と同等の機能を有する組織や臓器を作り出すことができる可能性が、名古屋大学の室原豊明教授らの研究チームによる次のようなマウス実験で明らかになりました。
左足の動脈の一部を取り除いたマウスを24匹用意。マウスの胎児から作ったiPS細胞を注射したグループと、ヒトで言えば80歳以上のマウスから作ったiPS細胞を注入したグループ、iPS細胞を加えていないグループの三つに分け、血管を取り除いた部位の血流を観察した。
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=28833リンク切れ
両iPS細胞の血管再生機能は同等だった!
Look what the cat dragged in / tinali778
その結果、ヒトで言えば80歳以上と、かなり高齢なマウスから作ったiPS細胞が、マウスの胎児から作ったiPS細胞と同等の血管再生機能を持つことが分かったのだそうです。
これまで若いマウスから作ったiPS細胞による血流改善は確認されていましたが、高齢のマウスで同等の結果が確認されたのは初めてなのだとか。
高齢者のiPS細胞を使った再生医療の道を開く一歩に
まだまだマウス実験の段階ではありますが、今回の研究成果によって、たとえ高齢の患者さんであっても、自分の細胞から作ったiPS細胞を利用した再生治療が、他人の若い細胞から作ったiPS細胞による治療と、何ら変わらない効果が得られる可能性が出てきたわけです。効果が変わらないのであれば、もちろん拒絶反応が起きにくい自分の細胞から作ったiPS細胞による治療で良いわけで、その意味でこの研究成果は、特に高齢者のiPS細胞を使った再生医療の道を、大きく開く一歩になるかも知れませんね。
そもそもiPS細胞ってなに?
最後に、iPS細胞に関するごくごく基本的な説明は、是非「そもそも「iPS細胞」ってなんじゃらほぃ?」を参照していただければと思います。ともすれば難しくなってしまうこの手の話題を、できる限り平易な文章で簡潔にまとめてみたつもりなんですが・・・まだまだ発展途上です^^; コメント欄は開けてありますので、間違っている点はもちろん、理解しにくい部分等ありましたら、遠慮無くご指摘いただけると嬉しいです^^
共通テーマ : 健康 | カテゴリ : 再生医療
タグ : iPS細胞 iPS細胞を利用した再生治療 室原豊明 拒絶反応のリスク 血管再生機能 高齢者のiPS細胞を使った再生医療 マウス実験
高齢でも胎児でも再生機能が一緒なら、もちろん自分の細胞を使用した方が拒絶反応は起こらないし安全ですよね^^
ある程度の年齢になるとどうしても後回しというか、”仕方がないよねぇ、もう年だし・・・”と言われてた人たちだって、辛いのは一緒だからこういう治療方法が早く完成してくれると良いですね(^O^)
by ニッキー (2012-06-30 01:18)
若いマウスと同等の機能ですか。。。何だか不思議な感じです。
細胞レベルも、若モンには負けんと頑張っているんですねぇ^^;
by まつき (2012-06-30 09:25)
◇ ニッキーさん
実際に移植となると、拒絶反応が一番の問題になりますもんね~
この辺の問題をクリアにしうることこそが、
iPS細胞を使った再生医療の一番のメリットだと思うんで、
今回の研究結果は非常に意味があるんじゃないかと^^
そうなんです!むしろ再生医療が必要となるのは、
若い人よりも高齢者の方が圧倒的に多くなると思うんですよね!
◇ まつきさん
ホント、普通の感覚からすると、ちょっと意外な結果ですよね!
まぁ、良い方に針が振れてくれたんで良かったわけですが^^
なるほど、なるほど~
次々にターンオーバーを繰り返している細胞レベルでは、
全体としての自分が年老いていることに、
意外と気付いてないのかも知れませんね(*´艸`)
by ソノ日暮 (2012-06-30 11:03)
この前の「そもそも「iPS細胞」ってなんじゃらほぃ?」でなんとなくどういうものかって感じがつかめましたよ(^▽^)v
今度スパワールドに行かれたら、神様に「来月のゴーヤもよろしく!」とお伝えくださいませ(^^;)
by リキマルコ (2012-06-30 19:20)
ソノ日暮 さん、こんばんは。
年齢に関わらずってのは
すごい発見ですね。
それにしてもソノ日暮 さんのブログは人のためになりますね~
おいらのは・・・・・・・
by uryyyyyy (2012-06-30 22:04)
今日のIPS細胞に関する話題もとっても興味があります。
by david (2012-07-01 13:34)
お返事が遅くなってしまって申しわけありません(*・ω・)*_ _))
◇ リキマルコさん
めちゃくちゃ嬉しいお言葉です!
ありがとうございます^^
これからもあの記事のコメント欄は開けておくので、
何かお気づきなことなどあれば、
遠慮なく書き込んでいただけると嬉しいです^^
スパワールドには沢山の神々が降臨されるんで、
(パッチモンもめっちゃ多いんです(-ω-;))
ゴーヤの神様を見つけ出すのは至難の業なんですが、
来月までにはきっと(`・ω☆)b
◇ うりさん
ですよね^^
高齢者の場合、その後に湧き出てくる老化促進物質やなんかで、
老化が早まるだけであって、日々生まれてる細胞自体は、
若いもんの細胞と同等の機能をもって誕生してるってことなんでしょうかねぇ。
とんでもない!
ブログはあくまで個人の意見や信条、ものの味方なんかを表現するツールなので、
うりさんのブログのように、ご自分の考えや信条を、
臆することなくバシバシ表明されているブログの方が、
断然価値があるって思いますよ(`・ω・)b
僕はへなちょこなので、結局いつも、
当たり障りのないことしか書けませんから・・・
◇ davidさん
昨日の話題と言うと・・・「サイトカイン」の話でしょうか?
患者のアゴの骨を再生したってやつ。
あれも凄い話ですよね!
正確にはiPS細胞じゃないみたいなんですが、
iPS細胞同様にゆくゆくは骨だけでなく、
様々な臓器や組織なんかにも応用できる可能性があるようですし、
ちょっと調べてみて、面白い記事が書けそうなら書いてみますね^^
by ソノ日暮 (2012-07-02 10:08)
おはようございます。
再生機能が一緒ならiPS細胞の活躍の期待がさらにアップですね。
詳しいことは分からないのですが、新しい医療(再生医療?)が
ステップアップすることは、本当に素敵なことだと思います^^
by perseus (2012-07-02 11:00)
こんにちは。
自分の細胞が使えるとなると安心ですよね。
by kuwachan (2012-07-02 12:53)
◇ perseusさん
まさにその通りだと思います!
実際に移植となると、やはり心配になるのは拒絶反応ですもんね。
まして、実際に再生医療を望む人は、
はやり高齢な患者さんが多くなるでしょうから、
今回の発見はとても大きいと思われます^^
こうやって色んな方向から研究が進んで、
ステップアップしていくのを眺めていると・・・
いよいよ!って感じがしてきますよね^^
◇ kuwachanさん
年老いた自分の細胞から作ったiPS細胞を使っても、
若い人から提供されたiPS細胞を使っても、
ほとんど効果が同じなのであれば、
拒絶反応の心配の少ない自分のiPS細胞を使うっきゃないですもんね^^
by ソノ日暮 (2012-07-02 23:59)